[特別対談]WWB 代表取締役 龍潤生氏 × 城南信金 顧問 吉原毅氏

ソーラーシェアリングが日本を変え、 そして世界を変えていく

[特別対談]WWB 代表取締役 龍潤生氏 × 城南信金 顧問 吉原毅氏

 

ソーラーシェアリングのための農地一時転用が農水省によって許可されてから丸5年が経過し、 取り巻く環境も日々変化を続けている。 昨年稼働した匝瑳市のメガソーラーシェアリングにおいて、プロジェクトのキーパーソンとなったお2人に、ソーラーシェアリングの今、そして未来について語り合っていただいた。


ソーラーシェアリングとの 関わりについて

吉原 私は、長島彬先生が創案した「ソーラーシェアリング」というものが、千葉県内を中心に広まっているということを耳にして、未利用農地や耕作放棄地問題、つまりは農業・地域の再生につながる新しい再生可能エネルギーであることに興味を持ったのが関わるきっかけでした。

そもそも野立タイプの太陽光発電もいいのですが、森や山を切り開いて環境に大きな負荷がかかるならば、日本各地に広がる田畑の広大なスペースを利用しない手はありません。しかも自然環境とエネルギー創出が共生した、新しい田園風景が生まれ、農家への経済的なメリットもある。一石二鳥どころではありません。

 

 その通りですね。そもそもWWBが、この業界に参入したのは、日本の豊かな自然環境、そして農業を保善し、守っていくという使命感からでした。

2011年から、九州を始め日本全国を何百箇所も回って感じたのは、耕作されていない農地がいかに多いかということ。理由はシンプルで、農作物を植えても採算があわないからです。ならば、ソーラー(発電設備)の下で農業を活かすのが、この上なく得策なのです。

 

現状と、取り巻く環境について

吉原 今年5月に、農地の一時転用ルールが、3年から10年に改正されました。農水省が積極的にソーラーシェアリング拡大に向けた対応をしてくれたことで、大きく道が開かれたと感じます。農業の再生にとって、ソーラーシェアリングが有効な手段だと認められたということですよね。

今、日本の農業は世界的に見ても厳しい状況にあります。世界では、大企業によるプランテーション農業が主流となっていて、コストの安い農産物を量産している。しかし実際は、遺伝子組み換えや農薬の大量使用など、健康にとって必ずしもいいとは言えない作物を作っている。また、プランテーション農業が発達しているメキシコや南米をみると、農村が破壊されて住民が追い出され、地域社会が破壊されてしまっているのです。

そうした意味でも、ソーラーシェアリングは、地域住民が自立して、新しい時代の農業を展開するための戦略的なツールになると思います。

 

 吉原さんは、関連する皆さんと一緒に、ソーラーシェアリングに対して、強い熱意を持って取り組んでいらっしゃいますが、やはり「農業を守る」という社会的な意義を見据えてのことですね。

昨年の匝瑳メガソーラープロジェクト以来、国内はもちろん、海外においても、目に見える成果が着実に出始めていると思います。実は、日本のある企業との合弁事業として、今度中国で新たなソーラーシェアリング・プロジェクトを予定しています。日本におけるソーラーシェアリングの経験やノウハウが、海外でも活かされるのです。

 

自然との共生、農業そして地域の再生によって

ソーラーシェアリングは、社会全体の起爆剤になる

立場は違えど、日本の農業の未来においてソーラーシェアリングが不可欠という想いは完全に一致するお二人。対談も時間を経るに連れて、大いに熱を帯びていった。

 

これからについて 展望と想い

吉原 自然との共生、農業と地域再生……様々なメリットがあるソーラーシェアリングは、日本の自然エネルギーの主流になると思っています。そして、日本だけでなく、世界をも変えていけると思います。

そのために、みなさんと一緒に、地域を、国を、動かす意気込みでこれからも取り組んでいきたいですね。

 

 社内でもよく言っているんですが、世の中の戦争の原因は、半分がエネルギー、半分が食料の問題。ソーラーシェアリングなら、そのどちらも解決できるんだと。だからこそ、これからしっかりと続けていかなければならない使命だと思っています。

 

photo: Kazunobu Kataoka(wacca) text: Moriyuki Hatayama(partisan)

(「アースジャーナルvo.6」より転載 ※一部再編集)

 

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