次世代に農地を残したい━━ 地域の未来を賭けたソーラーシェアリング/福島県南相馬市(3)

原発事故の影響を大きく受けた福島県南相馬市。地域と農業の存続をかけて「えこえね南相馬」というグループが、農家と協力しながらソーラーシェアリング設置を進めている━━第3回。

4年経って見えてきた 成果と課題

ソーラーシェアリングを実践して4年が経ち、当初の懸念だった「収量が落ちる」「トラクター作業がしにくい」といった問題はほとんど起きていない。売電収入も順調だ。地域外からは多くの見学者が訪れ、南相馬の他の地域でも設置を検討する農家が出てきたという成果もあった。しかし高橋さんが考えていたほど、地域で広がっているわけでもない。

「パイロットプラントである再エネの里発電所を設置したあと、年間で1000人ほどの方が見学されて、意義ある交流につながりました。ソーラーシェアリングが社会的に少しずつ認められてきている手応えも感じます。今後どのようなスタイルで広めていくかは検討中ですが、ソーラーシェアリングによって農業を継続していける可能性が広がるので、そういう環境を作っていきたいと思っています」(高橋さん)。

地域の将来のためにソーラーシェアリングを手掛けた「えこえね南相馬」。今後は建設コストを安くする方法を検討しながら、売電に限らず、自家消費や地域の工場に電力を供給する方法も模索していく。

一般社団法人えこえね南相馬研究機構 www.ee-minamisoma.jp

 

現在、市内9箇所で稼働中!

再エネの里発電所

単管パイプの架台や太陽光パネルの設置をDIYし、設置コストを削減。設備容量:30kW/土地利用面積:540㎡/導入年月日:2013年9月1日/導入費用:非公開/年間売電収入:約140万円/作物:カボチャ、大豆、ナス、ズッキーニ、ブドウなど

 

藤沼発電所

設備容量:40.2kW/土地利用面積:648㎡/導入年月日:2015年8月25日/導入費用:約1351万円/年間売電収入:約160万円/作物:カボチャ

 

東後迫発電所

畑の上のソーラーシェアリング設備とあわせて、南側の土手にもパネルを設置。設備容量:56.07kW/土地利用面積:805㎡(畑)、166㎡(原野)/導入年月日:2015年8月25日/導入費用:約1755万円/年間売電収入:約240万円/作物:カボチャ

 

久保発電所

回転式で太陽光パネルの角度が変えられるシステムを採用。設備容量:35.19kW/土地利用面積:742㎡/導入年月日:2015年8月31日/導入費用:約1239万円/年間売電収入:約150万円/作物:カボチャ

 

金井神発電所

ハウスのトラクター転回部の上にソーラーパネルを設置。設備容量:19.2kW/土地利用面積:389㎡/導入年月日:2015年4月22日/導入費用:約956万円/年間売電収入:約110万円/作物:シュンギク、アスパラガスなど

 

高田発電所

太陽光パネルを数ヶ所取り除き、下部の農地に光を届けている。設備容量:25.92kW/土地利用面積:187㎡/導入年月日:2015年9月14日/導入費用:約1192万円/年間売電収入:約130万円/作物:ミョウガ

 

森合発電所

設備容量:54kW/土地利用面積:1120㎡/導入年月日:2015年8月25日/導入費用:約1712万円/年間売電収入:約210万円/作物:カボチャ

 

五治郎内発電所

設備容量:56.7kW/土地利用面積:1202㎡/導入年月日:2015年8月25日/導入費用:約1752万円/年間売電収入:約190万円/作物:大豆

 

割羽迫発電所

設備容量:44.8kW/土地利用面積:775㎡/導入年月日:2015年10月16日/導入費用:約1649万円/年間売電収入:約190万円/作物:カボチャ

 

(「アースジャーナルvo.5」より転載)

あわせて読みたい