【CLOSE UP】日本BSL株式会社(1)/案件ごとにベストチョイスのアルミ架台を提供

太陽光発電システムの設計・生産・販売およびサービスを提供する日本BSL株式会社は、特に特別高圧案件の野立発電所用架台を、日本全国の太陽光発電所に提供、高い評価を受けている会社だ。同時に、群馬県においてFarmdo(ファームドゥ)グループと共同でビニールハウスタイプの架台を開発、さらには信頼性の高い藤棚式の架台も独自設計で手がけ日本全国で提供している。

そんな日本BSL株式会社の架台の特徴やコンセプトについて、同社代表取締役劉愛平さんに話を聞いた。

 

今回は、日本BSLの架台を使って昨年竣工した千葉県千葉市緑区大木戸町にある千葉エコ・エネルギーの「千葉市大木戸アグリ・エナジー1号機」にて取材を行った。本件をきっかけに、その後様々な案件でビジネスも一緒に手がけているという千葉エコ・エネルギー馬上丈司社長も駆けつけていただき、ソーラーシェアリングの架台のポイントや劉社長のこだわりなどについて語り合っていただいた。写真右が劉代表。

 

案件ごとの設計で、強度やコストダウンを実現

 

すでに触れた通り、日本BSLでは、Farmdo(ファームドゥ)グループの依頼を受けて、早くからビニールハウスタイプのソーラーシェアリングシステムを開発、実績を重ねていた。しかし、藤棚式の架台については、今回訪れた大木戸の案件が初めてだったという。開発にあたって苦労はなかったのか?

「確かに群馬(ファームドゥ案件の所在地)と比べれば、千葉では環境も異なりますし、営農する作物も違います。また、馬上さんの要望で、農作業に使用する機械の利便性(走りやすさ、作業しやすさ)についても、十分な柱の高さ・間隔を開けて欲しいということで、それらを満たす設計になっています。当社にとってこのタイプの架台は初めての案件でしたが、今では案件ごとに地域や作物に合わせて設計を変更、提供できるようになっています」(劉代表)

案件ごとの架台設計となると、気になるのはコストの問題だが…?

「そこは、アルミの特徴でもありますが、当社では同じ部材でもスペックの異なる数種類のラインナップがあり、それらを組み合わせることで、案件ごとの専用設計と生産・調達が可能になっています。中国から出荷する際にも、案件ごとにセットアップしています。例えば、この大木戸では、80mm×60mm、肉厚が3mmの柱を使用していますが、これは高さが3mでそれに見合った強度を出すためのものです。これが2mの高さの場合は、肉厚2.5mmで同様の強度を出すことが可能です。そうした案件ごとの細かい設計をし、提供できるのが当社の強みです」(劉代表)

劉代表は大学卒業後、生まれた中国で実家が営む建設資材の会社で数年勤めたのち、東日本大震災をきっかけに日本における太陽光発電用架台の生産を開始。さらに日本の風土にあった製品づくりを目指して、2012年に日本法人を設立、事業を展開してきた。今では、北海道から九州まで日本全国で、同社架台を使用した発電所が稼働中だ。

 

ソーラーシェアリングのモデルケースを目指して作った発電所

 

ご存知の通り、今回同行していただいた千葉エコ・エネルギーの馬上社長は、ソーラーシェアリング推進連盟の代表理事をつとめ、日本全国の案件を視察、架台についても多くの情報を知りうる存在。では、そんな馬上社長が、日本BSLの架台をチョイスしたのは、どんな理由だったのだろうか?

「実はこの大木戸アグリ・エナジー1号機は、私たちが農業法人を設立して、ソーラーシェアリングだけでなく営農も手がける初の案件です。規模もそれなりに大きいですし、FITの買取価格も27円/kwhの案件でしたので、今後ソーラーシェアリングに求められる架台の、いわばモデルケースにできればという思いがあって、色々試した部分も多いんです。コスト面については、低いほうがいいのはもちろんですが、むしろ強度や営農時の作業性など、必要なスペックを持つ架台がどのくらいの価格で実現できるのか、というのがテーマでした。劉社長とは、ここの架台を探しているときに、さる企業のご紹介で初めてお会いしたんですが、そういう意味で随分お世話になりました」(馬上社長)

 

取材を行った千葉市大木戸アグリ・エネジー1号機は、千葉エコ・エネルギーが保有する4箇所目の施設で、同社初の高圧ソーラーシェアリング(出力は625kW)。日本BSL製の架台は特注仕様となっている。営農についても株式会社マイファームの農業経営指導を受けつつ、自社で行なっている。

 

劉代表の話にもあったように、架台に使用する部材は、案件ごとに同社のラインナップからセレクトして設計・使用される。

 

「パネルを固定する三角スペース部分の強度(仕様)は、特に他の中国メーカーと比べると日本BSLのものは格段に高くなっているんです」(馬上社長)

 

「ソーラーシェアリングの架台の強度を考えた時、柱と杭を固定するボルトはとても重要です。従来1本で固定するタイプも多いのですが、当社は2本使用します。また、もっとも錆びやすい部分でもあるため、厳選した高品質ボルトを使用します。部材代が上がるだけでなく、施工も面倒にはなるのですが、強度を犠牲にしたコストダウンには意味がないので、いわば“見えないところにお金をかけて”いるわけです(笑)」(劉代表)

 

さらなる製品の完成度を求めて

 

馬上社長が語ってくれたように、当発電所は、ソーラーシェアリング架台のモデルケースを模索する意図を持って作られたものだが、劉代表も含め、これが完成形と考えているわけではない。

もちろん当初考えうる理想の条件等は、両者の緊密な連携で概ね達成し、昨年猛威をふるった大型台風の脅威にもしっかり耐え、架台のみならず営農を含め、大きな問題は起こっていないとのこと。しかし今回の取材中にも、馬上氏から雨水の落ちる場所について、最近気づいたことなどの指摘があり、劉代表も熱心に耳を傾けるシーンがあった。また作物の発育状況についても劉代表から質問が飛ぶなど、情報交換しながら改善を目指す二人の姿勢が印象的だった。

劉代表は、馬上社長と年齢的にも同世代。ソーラーシェアリングのさらなる発展において、まさにさらなる地平を切り開いていく期待の世代とも言えるだろう。共通の意欲を持ってソーラーシェアリングに取り組むそんな二人の姿に、思わずソーラーシェアリングの明るい未来を思い描かずにはいられなかった。

 

作付けされている無農薬のにんにくの成長具合を見ながら語り合う劉代表と馬上社長。5−6月の収穫に向けて生育もまずまず順調とのこと。


[DATA]

日本BSL株式会社

tel :047-406-4577 fax:047-406-4567
URL:www.bsl-eco.com
住所:〒 276-0049 千葉県八千代市緑が丘1-1-1公園都市プラザ1F(東葉高速鉄道八千代緑が丘駅より直結)


 

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