中身濃かった「全国ソーラーシェアリングサミット2018 in あしがら小田原大会」

去る7月14日に神奈川県小田原市で開催された「全国ソーラーシェアリングサミット2018 in あしがら小田原大会」を取材した。午前中には同市にあるソーラーシェアリング施設2箇所を視察、午後はセミナー会場である小田原お堀端コンベンションホールに移動してのセミナー本編。基調講演+3部に分かれたトークセッションという構成で、多彩な登壇者と充実の内容に、約170名を数えた来場者の満足度は非常に高かったに違いない。

感じられた強い意志。小田原地域のソーラーシェアリング推進に期待が高まる。

トークセッションは、直前におこった西日本の豪雨による水害の関連で当初の予定から若干の変更はあったものの、登壇者は、今回視察した施設を運営する営農者、施工担当業者、研究者、さらには農水省から自治体首長までまさに全方位に及ぶ顔ぶれで、その内容は、実に中身の濃いものだった。

他地域における成功例、営農者の現状や課題、海外(特に中国)とのビジネスにおける日本の農産物の立ち位置、さらには、行政の方針など、休憩を挟みながらも5時間以上に亘って行われた濃密なプレゼンテーションとトークセッションは、俯瞰するとソーラーシェアリングのこれからを考える上でいずれも欠かせない「視点」を来場者に提示していたように思われる。

そして、何より強く伝わってきたのが、こうした場を作り、理解者・実践者を少しでも増やして行こうという実行委員会をはじめ運営サイドの強い意志だ。

「未来の小田原地域(そして日本)の農業を考えるにあたって、ソーラーシェアリングの推進は不可欠」というメッセージは、間違いなく来場者に届いていた。

 

第1セッション:「ソーラーシェアリングの作り方&活かし方」

コーディネーター:竹村英明(市民電力連絡会)氏
パネリスト:粟田省三(株式会社パスポート 常務取締役)氏、井上保子(株式会社宝塚すみれ発電 代表取締役)氏、鎌田知也(農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 再生可能エネルギー室長)氏

 

第2セッション:「儲かる農業論〜ローカル&グローバルの視点から」

コーディネーター:氏川恵次(横浜国立大学 教授)氏
パネリスト:小山田大和(合同会社 小田原かなごてファーム)氏、張 馨元(横浜国立大学)氏、 川久保和美(かなごてファーム)氏

 

第3セッション:「100年先の地域・経済・農業・社会を見据えて」

コーディネーター:小山田大和(合同会社 小田原かなごてファーム)氏
パネリスト:鈴木悌介(小田原箱根商工会議所 会頭)氏、神津多可思(株式会社リコー)氏、鎌田知也(農林水産省 食料産業局 バイオマス循環資源課 再生可能エネルギー室長)氏、藤川まゆみ(長野県 上田市民エネルギー理事長)氏、加藤憲一(小田原市長)氏

ソーラーシェアリングは、次世代に引き継ぐ社会において不可欠なもの。

本サミットは、千葉エコ・エネルギー代表/ソーラーシェアリング推進連盟代表理事の馬上丈司氏による基調講演からスタートした。印象的だった内容(要約)以下の通り。

・次の世代に社会を引き継いでいくにあたって、(結果的に)周辺環境に与える影響を配慮しないまま進めてきてしまった(特に太陽光発電を中心とする)自然エネルギーの抱える矛盾、問題はなんとかしなければならない。

・また、そもそも何のために自然エネルギーを普及するべきなのか、という問いも不可欠。

・歴史的に見ても、実は農業とエネルギーの関係は密接で、大規模発電・送電が不可能だった大昔には、日本でも各地域毎に小規模発電を行っており、そのほとんどが当然ながら農村地域だった。

・ゆえに、環境問題、エネルギー問題、食糧問題といった社会問題を総括して解決する方法論として、農業と自然エネルギー(太陽光発電)のカップリングである「ソーラーシェアリング」には、大いに可能性が見いだせる。

耕地面積や農業従事者の変化を具体的な数字で示しつつ、日本における農業問題の一つのソリューションとして、ソーラーシェアリングがいかに有効であるか、改めて溜飲が下がる思いがした。

 

会場外では、関連資料のほか、小田原の耕作放棄地のみかん畑を市民が再生して作った「おひるねみかんジュース」の販売も。

 

神奈川県足柄上郡中井町の加藤久美町議も、資料配布のボランティアで参加。まさに今回のサミットが行政をも巻き込んだ取り組みであることがよくわかる。

 

午前中の視察の様子(かなごてファームの1号機/15kW)。以前は水田だった梅林をシェアリング化。水はけが悪くて耕作放棄地となっていたが、現在は、パネル下でさつまいもを生産。近くにある和菓子屋に出荷したり、農業体験などに使ったりしているという。稼働して1年になるが、1年目は予想の約1.5倍の発電量があったそう。

 

視察2箇所目は、同じくかなごてファームの2号機(15kW/取材時は未接続)。神奈川県で初となる水田のソーラーシェアリング。田植えが遅れたせいで周りの田んぼより稲の発育がやや遅れているものの、有機栽培で試験栽培中。1号機とともに、完成時には小泉元首相も視察に訪れたとか。

 

 

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