WWB Solar山梨太陽光試験所(1)見て、触って、体験できる展示場

以前の記事でご紹介した太陽光発電の総合メーカーWWBの山梨試験所は、同社の軽量太陽光発電モジュール「マクサライト」各種の設置例を実際に見ることができるだけでなく、施工体験までできる研修施設としての機能を併せ持った総合的な施設だ。

今回は、同試験所に伺って、担当者にもお話を伺った。

単身赴任で実証実験を重ねた上に、必要になった試験場

同施設を立ち上げたのは、WWBグリーンエネルギー事業部商品開発部顧問の立野さん。

もともと建築出身という立野さんは、古くからの友人である住宅総合メーカー、ヤマナカ産業代表の山中さんら友人が多く住まう山梨県南アルプス市に、ソーラーシェアリング用の太陽光発電システム開発のために地元福岡から単身赴任で移り住み、リサーチと実証実験を重ねてきた。

その間、訪れる多くのお客様に口で説明するだけでなく、実際に見て、触って説明する必要を感じたために、山中さんの協力を得てこの試験所を作り上げたとのこと。

取材に協力いただいたWWBの立野孝さん(中央)、WWBグリーンエネルギー事業部 商品開発部の奥田明男さん(左)、同山梨試験所の敷地や設備を提供しているヤマナカ産業代表の山中貞行さん(右)。

「山中さんとは13年来の友人です。ソーラーシェアリング用のモジュール開発に当たって、見学者に実際に見たり触ったりしてもらえる施設の必要性を感じたときに、『ビニールハウスも“ハウス”っていうくらいだから住宅のようなもんだろう。ぜひ協力してくれ』と頼み込んで、この試験所ができました。開発中のモジュールを実際に屋根やビニールハウスに設置して試験を重ねたり、モデルハウスを改装して装着例を示したり……研修室やミーティングルーム、商談室や試写室まで備えた立派な施設になりました」(立野さん)

 

 

設備内には、WWBの軽量太陽光発電モジュール「マクサライト」各種が、様々なタイプの屋根やビニールハウスに設置され、発電状況などを試験しているほか、施工体験も可能(要予約)。

 

ビニールハウスへの設置例の数々。WWBのマクサライトはセル配列のバリエーションが2列、4列、6列の3タイプ、厚さのバリエーションが6mm、20mm、35mmの3タイプ用意される。ビニールハウス用はこのうち厚さ6mmの超軽量タイプを使用。写真のように多彩な設置が可能になっている。

 

研修棟の壁面にも、マクサライトの設置が。超軽量のため垂直の壁面はもとより、写真下のような曲面にも設置できるのが大きな魅力(壁面設置は、厚さ20mmのタイプを使用)。

 

半屋外となったバルコニーには、マンションやビルの屋上などに設置する際に有効なオールステンレスの陸屋根用架台の展示も。写真の傾斜仕様(8度勾配)のほか、M字仕様(4度勾配)、水平仕様(0度勾配)も展示されている。

 

研修棟エントランスの様子。吹き抜けのホールに太陽の光が燦々と入り込み、心地よい空間。

 

1Fにあるミーティングルーム。打ち合わせや商談に使用している。こちらも明るく、居心地抜群。

 

こちらも2Fにある研修室。大人数のMTGや説明会などに使用。

 

1Fエントランス横にある試写室。長時間の資料映像などもゆったり鑑賞できる素晴らしい環境だ。

 

エントランスにさりげなく展示されていた蓄電池。マクサライトとの併用で、より効率のよい太陽光発電ライフの提案も行なっているとのこと。

クルマを売るように、ソーラーシェアリングのシステムを一体的に提供したい

「甲府盆地は、これからソーラーシェアリングを発信していく最先端の土地になります」……取材を進めるうちに、立野さんの言葉に熱がこもる。

「この地では、本当に様々な作物を栽培しています。お米はもちろん、トマトやキュウリ、ナスなどの野菜、ぶどうやさくらんぼなどの果樹……そしてビニールハウスの使い方も、実は作物によって様々なんです。だからこそ、ここで商品開発をする意味がある。これまでの太陽光発電メーカー、特にパネルの販売は、クルマに例えればエンジンだけを売っているようなものでした。クルマメーカーは、ちゃんとハンドルも座席シートもタイヤもある、走るクルマを売ってくれるでしょ? 太陽光発電システム、ことにソーラーシェアリングについては、お客様に対して、『このくらいは発電すると思います』なんて、無責任な売り方はしちゃいけないだろう、と。栽培している農家さんに対して、パネルメーカーとしてきちんと「こんな風に使えます」と説明できなければならないと思うんですよ。だから自分でも畑を作って様々な条件で実験してみて、開発に活かしてきたんです」(立野さん)

一般的なビニールハウスのビニールは耐久性が低く、2年から持って5年で張り替える必要があり、しかも作物によっては1年ごとに張り替える必要があるそうだ。ビニールハウスに太陽光発電モジュールを設置すると、このビニール張り替え作業の際に支障を期待さない工夫が必要になるということです。

「様々な試行錯誤を経て、たどり着いたのが現在のカタチです。既設のビニールハウス上部に、パイプ架台をかぶせる方式で、これなら張り替え時の作業スペースも確保できるように工夫されています。マクサライトは超軽量ですから、パイプ架台ごと持ち上げるのも容易なんです」(立野さん)

 

システム概要。立野さんらの苦労の結晶とも言える仕組みだ。

 

ビニールハウス(施工例のため、ビニールはなし)の外側に、パイプ架台が被さるように設置される仕組み。

 

ビニール張り替えの際は、写真のようにモジュールが設置されたパイプ架台ごと持ち上げて作業が可能。超軽量のマクサライトだからこそできるシステムだ。もちろん、女性でも持ちあげることができる。

 

パイプ架台の脚は、ハウス下の単管パイプに専用金具で固定される。

作物によって使い方が異なるビニールハウス。農家の使い勝手をも想定した独自のソーラーシェアリングだが、このカタチに至るまでには何度も失敗を重ね、とにかく試行錯誤の連続だったとか。次回はその開発秘話をお届けする。(続く)

 

[WWB Solar 山梨太陽光試験場]

住所:〒400-0211 山梨県南アルプス市上今諏訪850-1

木の国サイト』内 有限会社ヤマナカ産業

営業時間:8:00〜17:00

休日:第2土曜、日曜、祝祭日

 

photo /anlib design

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